LYNXEYE検出器シリーズは、世界最高性能のシリコン半導体ストリップ検出器で、0D、1D、2Dデータ記録のあらゆるX線回折・X線散乱アプリケーションに適しています。SSD160-2、LYNXEYE-2、LYNXEYE XE-Tの3つの検出器は全てCr波長からAg波長で利用でき、メンテナンスフリーです。ブルカーのD2 PHASERおよびD8回折計シリーズのすべてと互換性があります。LYNXEYE検出器シリーズは、厳しい技術仕様、最高の製造品質、最高のシステムとソフトウェアの統合を兼ね備えています。その結果、多様性、信頼性、データ品質がすぐれたレベルで実現されています。
第2世代のLYNXEYE検出器は、従来のすぐれた性能をさらに向上させています。エネルギー分解能が30%向上したSSD160-2とLYNXEYE-2は、一般的なシリコンベースの半導体検出器よりも効果的にサンプルからの蛍光X線を除去します。高いデータ品質を実現するために、LYNXEYE XE-Tは、受光モノクロメーター使用時に匹敵するエネルギー分解能を持ちながら、強度の損失がないすぐれた独自技術が搭載されています。
LYNXEYE検出器を搭載した回折計は、高速データ記録、すぐれた角度分解能、高いピーク/バックグランド比が特長です。
380 eV以下のエネルギー分解能を有するLYNXEYE XE-T検出器は、最も高性能な蛍光X線フィルタリング検出器システムであり、0D、1D、2Dデータ記録可能な唯一のエネルギー分散型検出器です。
すぐれたエネルギー分解能により、線源由来のKβ線とサンプル由来の蛍光X線を、これまでにないレベルでフィルタリングでき、高いS/N比と優れた検出下限や定量下限を実現します。これらはすべて、モノクロメーターやKβフィルターなどの受光側光学系を使用せず、強度低下を生じることなく達成しています。
例えば、LYNXEYE XE-Tは、Cu波長により励起された鉄由来の蛍光X線を100%フィルタリングし、Kβ線をCu Kα線比0.1%未満に低減します。結果として得られるデータには、不要な散乱線やKβフィルターによる吸収端などのアーチファクトがありません。これは、信頼性の高い結晶相定性や定量分析に不可欠であり、特にバックグラウンドノイズによって不明瞭になることが多い微量成分の検出にはきわめて重要です。
粉末X線回折では、粉末サンプルを適切な粒径、かつ優先配向がない状態で調製することが重要な課題となります。2次元X線回折 (2D-XRD, XRD2) は、この理想的な粉末状態からの逸脱を可視化するのに有効な方法です。また、ラインプロファイルを相関させて結晶相同定を後押しし、定量化の信頼性を高めるのにも有用です。
すべてのLYNXEYE検出器シリーズは、2種類の2Dデータ記録方法をサポートしています。
ブルカーの特許技術である0°/90°マウントを搭載したD8 ADVANCEおよびD8 DISCOVERでは、検出器を90°回転させた状態で、従来の2θスキャンと組み合わせて2Dデータを収集します。また、すべての回折計で実施できるBRAGG2Dスキャンでは、集中法光学系配置のまま測定が行われ、新しい2Dデータ処理アルゴリズムで記録されます。これにより、広いサンプル領域をX線で照射することが可能となり、試料前処理状態を迅速にチェックすることができます。
LYNXEYE検出器シリーズは、高いダイナミックレンジ、高いカウントレート、高速読み出し機構を備えており、材料評価を含むあらゆる用途に最適です。
逆格子空間マップ (RSM) は、エピタキシャル多層膜の構造の格子歪み、組成、ドメイン構造などの膜特性を評価するために重要な分析アプローチです。
すべてのLYNXEYE検出器シリーズで使用できるrapidRSM™技術を使用すると、RSMはデッドタイムなしで1Dスナップショットの連続として収集されます。これにより、スキャン時間が数分あるいは数秒にまで劇的に短縮され、サンプル測定のスループットが大幅に向上しました。
X線反射率測定 (XRR) や高分解能XRD測定 (HRXRD) では、信号強度は全測定範囲にわたってログスケールで変化します。そのため、ダイナミックレンジが大きいことは重要となります。LYNXEYE検出器 シリーズの搭載方向を90°回転させると、ダイナミックレンジが約 200 倍になり、減衰板を用いることなく、スループットが向上し、データ品質が改善します。
仕様 |
メリット |
|
SSD160-2 |
検出素子数: 160 (サブサンプリングモードで最大2,400素子相当) エネルギー分解能: < 1000 eV FWHM (<426 eV Sigma) 8keV 有効検出面積: 12 × 16 mm²; Δ2θ~2.5° (250mm半径時) 不良素子: 最大1 (< 1%) 最大カウントレート (グローバル) : 125,000,000 cps |
従来型0次元検出器比 最大125倍以上高速測定 サンプル由来蛍光X線の効率的な除去 0Dモードにおける広いダイナミックレンジ |
LYNXEYE-2 |
検出素子数: 192 (サブサンプリングモードで最大2,880素子相当) エネルギー分解能: < 1000 eV FWHM (<426 eV Sigma) 8keV 有効検出面積: 14.4 × 16 mm2; Δ2θ~3.0° (250mm半径時) 不良素子: 0 最大カウントレート (グローバル) : 150,000,000 cps |
従来型0次元検出器比 最大150倍以上高速測定 サンプル由来蛍光X線の効率的な除去 0Dモードにおける広いダイナミックレンジ 納品時の不良素子ゼロを保証 |
LYNXEYE XE-T |
検出素子数: 192 (サブサンプリングモードで最大2,880素子相当) エネルギー分解能: < 380 eV FWHM (<160 eV Sigma) 8keV 有効検出面積: 14.4 × 16 mm²; Δ2θ~3.0° (250mm半径時) 不良素子: 0 最大カウントレート (グローバル) : 150,000,000 cps |
従来型0次元検出器比 最大150倍以上高速測定 (高強度モード); 最大450倍以上高速測定 (高エネルギー分解能モード) 0Dモードにおける広いダイナミックレンジ 納品時の不良素子ゼロを保証 Kβフィルターや受光側モノクロメーター不要 Cu波長仕様時の鉄由来蛍光X線を100%除去可能 |
空間分解能 (素子ピッチ) |
75 µm |
|
バックグラウンドノイズ |
検出器全体で< 0.05 cps |
すぐれたシグナル/ノイズ比を実現 |
対応波長 |
Cr, Co, Cu, Mo, Ag |
ひとつの検出器であらゆる波長をカバー |
センサー厚 |
500 µm |
センサー効率 > 99%: Cr, Co, Cu波長 50%: Mo波長 30%: Ag波長 |
対応スキャンモード |
0D: スキャンモード 1D: スキャンモード、スナップショットモード、rapidRSM™モード、rapid Non-Ambientモード 2D: 2Dスキャンモード、BRAGG 2Dモード |
90°回転搭載モードによる広いダイナミックレンジ 高速1Dスキャン測定 BRAGG2D: 発散ラインビームを用いた2Dデータ記録 |
外部付帯 |
なし |
メンテナンスフリー 消耗品や外部冷却水は不要 |
アプリケーション |
XRR、HRXRD、結晶相定性、結晶相定量、結晶構造精密化、残留応力、極点図など |