隕石試料の高解像度X線元素マッピング

表面がひび割れ、窪み部分に鉛 (赤色)が堆積したMocs隕石試料の重ね合わせ元素マップ

 隕石試料は希少性が高く非常に重要なため、非破壊的な手法で分析することが求められます。試料本来の表面の顕微観察を目的とする場合、切断、研削、研磨、カーボンコーティングなどのSEM-EDS分析で一般的な試料前処理を行うことはできません。

 このような状況で特に高い空間分解能が必要な場合に、従来のEDS検出器には限界があります。隕石試料は非導電性で凹凸があるため、チャージアップとシャドーイングが主な課題になります。

 これらの問題を解決するために、最先端のソリューションであるXFlash® FlatQUADを利用することができます。この独自の環状EDS検出器は、BSE検出器と同様にサンプルの直上に配置されます。弱いX線に対しても非常に高い感度を持ち、シャドーイングを最小に抑える特徴があるため、隕石のように凹凸がありコーティングされていない試料をマッピングする場合に最適な検出器です。

 ウィーン自然史博物館 (NHM)からの提供を受け、1882年2月2日にルーマニアに落下したMocs隕石の分析を行いました。XFlash® FlatQUADを使用することで深い窪み部分でも高解像度元素マッピングが可能となり、地球外物質の進化過程に光を当てました。(Salge et al., EMAS 2018 - Microbeam Analysis in the Earth Sciences, Bristol, UK, pp.16)