粉末XRD全般解析
所定の分析から最先端解析まで
DIFFRAC.EVAソフトウェアは、1次元、2次元の回折データを迅速に解析するためのツールを提供します。すべてのブルカー検出器とXRDスキャンタイプをサポートしています。EVAの機能は、データの処理、スキャンデータの解析と表示から、詳細なピーク解析、結晶相の同定と半定量、結晶化度と結晶子サイズの評価に至るまで、幅広い分析機能をカバーしています。
EVAは相同定のために関連するさまざまなデータベースを任意に組み合わせることができます。また、結晶構造やXRFを用いた組成分析などの化学組成の追加情報を用いて、ラウンドロビンテストで実証された高精度の定性機能を提供します。
さらに、DIFFRAC.EVAは高速検出器やin-situアタッチメントの利用、ハイスループットスクリーニングや微小部測定に由来する多くのビッグデータを効率的にサポートします。DIFFRAC.EVAは特定のチャートタイプだけでなく、クラスター解析やパターンマッチングに基づいた結晶質および非晶質の同定と定量化を行う高度な「計量化学」ツールを提供します。
従来のファイルシステムベースのタスクを完全にサポートするだけでなく、製薬業界向けの21 CFR Part 11で要求されているような管理された環境でも日常業務に対応できるよう、DIFFRAC.SUITEのデータベースインフラを統合しています。
最後に、DIFFRAC.EVAで直接、またはDIFFRAC.RESULTS MANAGERと装置データベースを利用して、論文投稿レベルのグラフやユーザー指定のレポートを作成する機能をも備えます。
EPDF関数導出を簡単に: PDF解析のエキスパートであるリモージュ大学のOlivier Masson教授との共同研究の成果からPDF関数の導出が簡単になりました。彼の専門知識を活用し、DIFFRAC.EVAには実測全散乱測定データからPDF関数を導出するための強力なPyTSRedXアルゴリズムが搭載されました。PDF解析の第一歩がこれほどシンプルになったことはありません。わずか数回のクリックで、迅速かつ簡単に高品質なPDF関数を導出することができます。DIFFRAC.EVAでは、バックグラウンド補正、Compton散乱補正、吸収補正、偏光補正、蛍光X線補正をおこない、データを原子散乱因子で規格化、最後にフーリエ変換します。
DIFFRAC.TOPASでさらに定量的な評価を行うために得られたPDF関数を出力し、アモルファス材料、ナノスケール構造、無秩序構造における局所効果における新たな知見を得ることができます。
ワークフローの力で、以前に記録したコマンドを簡単に繰り返すことができます。EVAコマンドのシーケンスを記録し、いつでも再生できます。記録プロセスでは、該当するコマンドのみが有効になります。ワークフローコントロールは、現在の選択に関連するコマンドで始まるアクションのみを表示し、コンテキストに応じたワークフローを表示します。ツールバーの便利なドロップダウンリストを使用して、即座にワークフローを開始できます。編集ボタンを使用して、記録済みのワークフロー内のコマンド パラメーターを変更できます。
DIFFRAC.EVAにおけるワークフローの利点
効率性の向上:ワークフローを使用すると、一連のコマンドを記録して再生できるため、反復タスクの実行にかかる時間と労力を圧縮できます。複雑な操作や頻繁に実行される操作を自動化することで、ワークフローは解析プロセスを合理化し、全体的な効率を高めます。
一貫性と再現性:ワークフローは、解析中に使用されたコマンドのシーケンスを正確に記録することで、データ解析の一貫性と再現性を確保します。この機能は、共同プロジェクトや以前の解析を再確認する際に特に有用です。
エラーの削減:ワークフローにより、データ解析中のヒューマンエラーのリスクが軽減されます。記録されたワークフローは、事前に定義されたコマンドを正確に実行するため、ミスや漏れの可能性が最小限に抑えられ、より信頼性の高い結果が得られます。
簡素化された操作:ワークフローは、管理しやすい一連のステップに分割することで、複雑な解析手順の実行を簡素化します。ユーザーは、ワークフロー全体をワンクリックで実行できるため、複数のコマンドを覚えて手動で実行する必要がなくなります。
柔軟性とカスタマイズ:ワークフローは、個々の分析要件に適した柔軟性とカスタマイズオプションを提供します。ユーザーは、パラメーターを調整することによって、記録されたワークフローを変更し、微調整することができます。
コラボレーションの合理化:ワークフローは、データ解析への標準化されたアプローチを提供することで、研究者間のコラボレーションを促進します。記録されたワークフローはチームメンバーと簡単に共有できるため、複数のユーザー間で一貫性が保たれ、プロジェクトにおけるシームレスな共同作業が可能になります。
全体として、DIFFRAC.EVAでワークフローを使用することで、効率性、精度、再現性、コラボレーション機能が向上し、より合理的で生産性の高いデータ解析が可能になります。
DIFFRAC.EVAではパターンフィッティング機能が大幅に進化し、解析の精度と信頼性が向上しました。改良されたアルゴリズム、より高速なパフォーマンス、より安定した解析結果が得られます。
格子定数の精密化:サンプル高さ補正を用いた格子定数精密化で、より高い精度と確度を実現します。
選択配向と強度フィッティング:March-Dollaseモデルや6次までの球面調和関数などの高度な機能を使用して、選択配向を補正できます。Pawley法のようなアプローチで、理論強度比の制約のないピークフィットを実行します。擬Voigt関数をVoigt関数やPearson VII関数に置き換えることで、プロファイルフィッティングがさらに強化され、より優れた微構造評価が可能になります。
波長プロファイルの改良:Kα線波長にKβ線やタングステンLα線などの不純波長を含めることで、明瞭性を高め、全パターンフィッティング内で微小な信号を正確に割り当てることができます。この機能により、信号の明確な識別が向上し、X線データの包括的な解析が可能になります。
定量分析とアモルファス相:最強ピークまたはすべてのフィットピークの相対強度比法 (RIR) などのオプションを使用して、半定量分析を実行します。「アモルファス相」タブの専用ボタンを使用して、1つまたは複数のアモルファス「相」を簡単に追加できます。
これらの機能強化により、DIFFRAC.EVAを使用することで、より正確で有意義な結果を得ることができ、高度なパターンフィッティングやXRDデータの包括的な解析が可能になります。
拡張されたデータアクセシビリティと管理:EVAのサーチ/マッチ機能を使ってPDF-4データベースから生データにアクセスし、オリジナルのスキャンデータを簡単に抽出して、さらなる解析に適用することができます。
さらに、ユーザーデータベース機能を活用して、独自の測定パターンを含めることで、参照データやその他の貴重なデータを分析結果と一緒に保存することができます。これらのユーザーデータベースは、クラスター分析、PMI (Positive Material Identification)、または強力な半定量的パターンマッチング (SQUALL) 機能の参照情報として活用できます。ユーザーデータベースとパターンマッチングを組み合わせることで、パターンの高度な解析と比較が可能になり、XRDデータ評価の精度と深度が向上します。データアクセシビリティの向上、包括的な管理オプション、高度なパターンマッチング機能を備えたDIFFRAC.EVAによって、XRDデータ解析プロセスの合理化と高度化が実現します。
DIFFRAC.EVAソフトウェアは測定結果から材料情報を得るための第一歩です。スキャニング2D-XRD (XRD2) を含むさまざまな2次元データからの1次元情報への変換は欠かせない操作です。EVAはこれらの1次元データへの変換結果を含む、あらゆる1次元データの解析ツールとなります。日常的なプロファイル処理から定性分析、さらには個別ピークだけでなくスキャン結果全体を評価するためのより高度な手法まで幅広く対応しています。
EVAのクラスター解析は、XRDなどの大規模なデータセットに対して理解を深める直感的な表示を可能とします。
クラスター解析ツールは実績あるPOLYSNAPソフトウェアを改良し、EVAに統合したものです。既知のサンプルと未知のサンプルの識別、混合物や異常値の分析、品質管理を支援します。このツールは、高スループットのスクリーニングだけでなく、雰囲気制御下で取得された大量のデータ解析にも使用できます。
DIFFRAC.EVA - クラスター解析、3D MMDS表示
多次元尺度構成法 (MMDS) クラスター解析結果を3Dでグラフィカルに表現する方法です。また、主成分プロット (PCA) や6次元チャート表示などにも幅広く対応し、より多くの情報を視覚化することができます。
EVAの持つマルチスキャンリーダー機能は、数百もの大規模なスキャン結果を素早くかつ簡便に読み込み、2Dチャートで概要を表示します。品質管理評価における異常値を簡単に発見することが可能です。逆空間マップ、雰囲気制御条件やin-operando測定での大量の測定結果の中から、特定のスキャンを抽出して精細に解析することも簡単に行えます。
測定位置、温度、湿度、充放電状態、あるいは個々のピークの強度やアモルファスバックグラウンドの量などの補足的なスキャン情報は、サイドビューで可視化することができます。これもまた、相転移、相分解や反応の詳細を評価するために、重要なスキャンを見つけるのに役立ちます。
BRAGG2Dは、LYNXEYE検出器シリーズなどの1D検出器とBragg-Brentano集中法光学系の特徴である大きなX線照射領域と高い角度分解能を組み合わせた新しい2D-XRDアプローチの一つです。BRAGG2Dを利用することで、粗大粒によるスポット状パターン、集合組織や優先配向による強度分布の観察ができ、サンプル調製の状態を視覚的に把握することが可能です。DIFFRAC.EVAはBRAGG2Dデータを視覚化し、さらに詳細な評価のために個別スキャンを選択することもできます。
EVAの最初のリリース以来、その結晶相定性に用いられるサーチ/マッチモジュールは、最も信頼性が高くかつ正確なツールとして評価されています。これに対応して、EVAは国際的な定性分析ラウンドロビン(Le Meins et al., 2002, www.cristal.org/smrr)で最も優れた成績を収めました。それ以来、さらに多くの改良が行われ、従来の結晶相定性アルゴリズムとの差別化が図られています。
バージョン |
現在のバージョン: DIFFRAC.EVA V7、DIFFRAC.Part11 V8 | |
データベース互換性 |
バージョン8.7。2つ前までのバージョンまで読み込み・書き込みの互換性あり |
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準拠 |
cGxP および 21CFR Part 11 |
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対応OS |
Windows 10、11、64ビット版 |
無償メンテナンスアップデート
無償のDIFFRAC.EVAメンテナンスアップデートは、お使いのEVAのバージョンを最新版に更新します。お客様のEVAライセンスレベルに関係なく、最新のメンテナンスアップデートを www.brukersupport.com から無償でダウンロードすることができます。
ダウンロード手順
バグ修正
DIFFRAC.EVAを最新版にアップデートすることで、ライセンスレベルに関係なく、現在のバージョンだけでなく、以前にリリースされたバージョンのすべてのバグ修正が適用されます。DIFFRAC.EVAメンテナンスアップデートは累積的なものですので、すべてのバージョンにも適用することができます。
アップデートとアップグレード
DIFFRAC.EVAメンテナンスアップデートには新機能は含まれていません。新しいバージョンに導入された新機能を利用したい場合は、最新のDIFFRAC.EVAへの有償アップグレードが必要です。