食品の信頼性
EU域内では特に、原産地呼称保護(PDO-Product of Designated Origin)の例が多く、モッツァレラチーズなどの特定ブランドのチーズ、マジパン、ワイン、ビール、ソーセージ、魚など、列挙すればきりがありません。これらのブランドは、ブランドの信頼性を保護する方法を探しています。既に異なる地域からの製品がよく知られ、定義され、特定のマーカーを持つ場合、ターゲットMSアプローチを使用することができます。新しい製品や、これからPDO認証を取得する産地では、未知・非標的スクリーニングと呼ばれる別のアプローチが必要です。どちらのワークフローも、ブルカーの質量分析製品で解決することができます。
自動化された高分解能1H NMR分光法と多変量統計ケモメトリクスを組み合わせることで、食品の信頼性判定とブランド保護にユニークな「オールインワン」機能を提供します。
NMRは、ターゲットスクリーニングおよびノンターゲットスクリーニングが可能です。食品中の数百の成分を同時に観察することができ、その高い再現性により、いわゆる試料のフィンガープリントを取得することができます。これにより、特定のマーカー成分の定量だけでなく、統計に基づくフィンガープリンティングにより、混在している物質のノンターゲットな検出や原産地の判定を同一の実験で実施できます。
不純物スクリーニング
ブランドの評判と製品の品質を維持するために、食品製造に使用される原材料の品質が重視されるようになりました。食品の安全性と品質を確保するためには、従来の品質パラメータに加え、不純物の検出が重要な役割を果たします。USP(米国薬局方)食品不正データベースには、現在、メラミンの混入のような有名な不純物混入事案を含め、ワイン、チーズ、オリーブオイル、粉ミルクなどの食品の、経済的動機による粗悪化(EMA)、代替品、偽造、誤表示に関する数百件の事例がリストアップされています。
近赤外分光法(FT-NIR)は、優れたコストパフォーマンスと使いやすさをあわせ持ち、ほとんどすべての原材料をスクリーニングするための有用なツールを提供します。NIRスペクトルの豊富な情報量から、試料のフィンガープリントが得られます。入荷した原材料のスペクトルを、品質が確認されている試料で測定したスペクトルと比較することで、検出限界内にある不純物や汚染物の非標的スクリーニングが可能です。FT-NIRで不純物が検出された場合、NMRや質量分析のような相補的な分析方法でさらに調査を行い、不純物の正確な同定を行うことが可能です。
NMRは、検査対象食品のフィンガープリントが反映された、数百のシグナルを含むスペクトルを測定します。これにより、特定のマーカー成分の定量だけでなく、不純物のノンターゲットスクリーニングのための統計に基づくフィンガープリンティングが、すべて同一実験内で可能になります。例えば、蜂蜜の場合、最大60のマーカーをターゲットとした分析を行い、不純物とみなされるシュガーシロップの存在を確認することができます。
食品への不純物の混入は昔から存在します。ほとんどの場合、原材料のコストを下げ、利益をあげることが目的です。適切なスクリーニングを行わなければ、これを突き止めることは困難であり、不正行為者を裁判にかけることも不可能です。新たに開発された技術により、不純物の検出が遥かに容易になりました。高分解能QTOFシステムは高感度化が進み、新しいイオンモビリティ質量分析システムのtimsTOFは分離能力を向上させることができます。
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