マンチェスター大学のNMR Methodologyグループに所属するPeter Kiraly, Ralph W. Adams, James Montgomery, Mathias Nilsson, Gareth A. Morrisの各氏の貢献で、オンラインのユーザーライブラリーに新しく登録された情報をご利用いただけます。このライブラリーには、様々なpure shift法(すなわち、ホモデカップリングされたスペクトル)や拡散測定のNMR法を含む実験のセットアップに必要なパルスプログラムやマクロ、パラメーターファイルが幅広く収蔵されています。今回の新しい実験は、Experiment Selectorの中でも利用でき、実験の選択とセットアップが容易になります(Fig 1)。
多くの実験は、WaveMaker (wvm)による自動アップデートに対応しています。測定のパラメータにおいて、有効なWaveMaker の波形の定義を使用することができます (たとえば、 userA1 = rsnob)。波形パルスのパラメーターは、cnst50を用いて、有効なバンド幅 を容易に変更あるいは更新することができます。オートメーション(xaua)の場合は、au_wvm マクロが自動でWaveMakerを呼び出すようになっています。
pure shift HSQC実験には、ハードウェアの保護機能が含まれています。F2 分解能が高いHSQC実験の場合は、比較的長めのFID取り込み時間(AQ)が必要です。この高分解なHSQCスペクトルを得るために、完全なpure shiftの取り込みを最大限活用する必要がありますが、高出力の広帯域デカップリングを行うという危険が伴います。パルスプログラムのファイルとセットアップ用のマクロは、最大出力を制限します。これは使用するプローブと分光計が安全に制限されるよう、調整されるべきものです。適切なパラメーター設定でWaveMakerを使用することで、adiabatic 13Cデカップリングを最適化し、試料の加熱を最小限に抑えます。
互換性
パルスプログラムのコードは、TopSpin 4ソフトウェアで制御するAvance Neo分光計で開発されました。real-time HSQCとsemi-real-time pure shift実験以外は、旧型のAvanceおよびTopSpin 3の組み合わせで互換性が期待されます。
このパッケージに含まれる実験については、参考文献の [1-13]に詳細が記述されています。
参考文献
[1] K. Zangger and H. Sterk J Magn Reson, 1997, 124, 486-489.
[2] Juan A. Aguilar, Stephen Faulkner, Mathias Nilsson, and Gareth A. Morris Angew. Chem. Int. Ed.2010, 49, 3901-3903.
[3] Foroozandeh M, Adams RW., Kiraly P, Nilsson M, Morris GA. Chem.Commun. 2015, 15410-15413.
[4] Foroozandeh M, Morris GA., Nilsson M Chem.Eur.J. 2018, 24, 13988-14000.
[5] Moutzouri, P.; Chen, Y.; Foroozandeh, M.; Kiraly, P.; Phillips, A. R.; Coombes, S. R.; Nilsson, M.;Morris, G. A. Chem. Commun. 2017, 53, 10188-10191.
[6] Pelta, MD, Morris, GA, Stchedroff, MJ and Hammond, SJ. Magnetic Resonance in Chemistry 40(13):S147-S152.
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[8] Botana, A., Aguilar, J. A., Nilsson, M., Morris, G. A. J. Magn. Reson. 2011, 208, 270-278.
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[10] P. Kiraly et al, J.Biomol.NMR. 2015, Vol. 62, 43-52.
[11] L. Paudel et al, Angew.Chem.Int.Ed. 2013, Vol. 125, 11830-11833.
[12] Concilio, M. G.; Kiraly, P.; Morris, G. A. J. Magn. Reson., 2019, 301, 85-93.
[13] Kiraly, P.; Nilsson, M.; Morris, G. A. J. Magn. Reson., 2018, 293, 19-27.
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