ルーマニアのブラショフにあるトランシルバニア大学の研究者は、カボチャ種子に含まれる油分の大部分を除去し、栄養価を調べました。残りの、部分的に脱脂した種子を粉砕して分析したところ、凝縮された高い栄養価を持つことがわかりました。部分的に脱脂したカボチャ種子100gだけで、1日の必要量を上回る鉄分、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛を摂取できます。また、必須アミノ酸や不飽和脂肪酸など、いわゆる「良い」脂肪もかなりの量が含まれています。
脂肪酸の分解を調査するために、研究者たちはBruker Ascend 400MHz分光計で得た1H NMRの結果を分析しました。スペクトルから、100gの脂肪酸が80.72gの不飽和脂肪と19.28gの短鎖飽和脂肪を持つことがわかりました。より具体的には、不飽和脂肪80.72gには一価不飽和脂肪27.30g、二価不飽和脂肪49.12g、多価不飽和脂肪4.30gが含まれていました。ルーマニアの4つの研究センターの科学者が、この研究に貢献しています。
食品や農産物を分析するために、NMRはさらに重要な技術になっています。1H NMRは、純度、真正性、栄養成分およびその他の重要な情報を決定することができます。この情報には、幅広い意味合いが含まれる可能性があります。
例えば、ある一本のオイルが本当にギリシャで栽培されたオリーブから作られたものであれば、各国の植物性オイルを混合したものよりも高値で取引されるかもしれません。警察が押収した植物由来の薬に合成化合物が混入されていた場合、安全性に問題があるかもしれません。あるいは、トランシルバニア大学のカボチャ種子の研究のように、ある食品が栄養の面で重要な利点を持っているかもしれません。
1H NMR研究に携わった科学者たちは、部分的に脱脂したカボチャの種子粉末の成分の生物学的同等性について、さらなる研究が必要であると述べています。
参考文献:
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