TD-NMRによる総脂質と水分の分析は、サンプルの重さを量り、粉砕せずにそのままのサンプルを空の試料管に入れ、サンプルの重さを量り、試料管をminispec装置に挿入するだけで容易に行うことができます。数秒後には、正確で信頼性の高い総脂肪と水分のパーセント含量の結果が表示されます。
この伝統的なTD-NMR標準法は、食品や飼料、種子、油かす、単一の種子やトウモロコシのような広い範囲の試料に適していますが、さらに医薬品の粉末や錠剤、硫黄のような化学物質、ポリマー、その他の試料にも適用可能です。
食品分野では、チョコレートが代表的ですが、ミルクまたはベーキングパウダーなども測定可能です。このNMRの手法は、チップスなどのスナック類や他の不均一なサンプルにも適用できます。NMRシステムは、サンプルの表面だけでなく中心部やあらゆる部分で、全ての水素原子核をスクリーニングします。ただし標準的な手法を用いる場合、試料中の水分量は一定の範囲になくてはなりません。含水率の高い試料については、別のNMRパルスシーケンスを用い、標準法とは異なるデータ評価(多変量解析)を行う必要があります。
minispecの標準的な手法では、全ての脂肪分のプロトンが、結合水の緩和時間よりも長いNMR緩和時間を示すことを前提としています。これは、サンプルが測定される時に、検出されるべき全ての脂肪分が、液体でなければならないことを意味します。つまり実際には、ある製品に対しては、サンプルのプレテンパリングが必要になります。例えば、チョコレートは、全ての脂肪が確実に液体となるように、最低40℃でプレテンパリングする必要があります。
しかし、チョコレートサンプルの脂肪分は40℃以下では部分的に結晶化しているため、目的の温度および全ての脂肪分が溶融した状態での2回のNMR測定により、目的の温度でのチョコレートサンプルの固体脂含量を決定できるようになっています。
minispecの検量線作成は、純粋な油/脂肪を用い、異なる重量の油脂が入った試料管を数本(3-5)準備するだけで、容易に行うことができます。シンプルな直線の線形回帰を用いる場合には、油脂の重量に対するNMR信号の相関を得るために、空の試料管をminispecの検量線の最低点(ゼロ点)として使用することもできます。脂肪分/油分が多い場合は、NMR信号が大きくなります。
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