生命科学と生物学

コレステロールの細胞内分布

脂質分子であるコレステロールは、人体の細胞膜の完全性、ホルモン合成、細胞シグナル伝達に不可欠です。細胞内でコレステロールがどのように分布しているかを理解することは、細胞の機能とシグナル伝達におけるコレステロールの役割を理解する上で重要です。この分布を可視化する実用的な手法が、ラマンイメージングです。

この事例では、HeLa 細胞内のコレステロールの標識剤として重水素を使用することで感度良く検出し、他の成分の干渉を最小限に抑えながら、ターゲット分子を識別しました。下のラマンイメージは、通常のコレステロールと重水素置換コレステロールを含む HeLa 細胞を示しています。それぞれの領域のスペクトルは、2 つのスペクトルの違いを示しています。拡大すると、通常のコレステロールのスペクトルには存在しない 2066 cm-1、2121 cm-1、2212 cm-1 の重水素ピークが明らかになります。