食品および飲料

顕微ラマンイメージングによる食品の分析事例

チーズの成分分布の観察

チーズの組成は味と食感に影響するため、食品技術者は組成に関するすべての情報を把握することで製品の改善に役立てています。ラマンイメージングによってチーズの主要成分を非侵襲により観察することができます。以下のラマン画像は、モッツァレラチーズの冷凍スライスにおけるタンパク質 (緑)、脂肪 (黄色)、水分 (青) の分布を示しています。

タンパク質の分布は、3060 cm-1 のピーク強度から決定され、フェニルアラニンやチロシンなどの芳香族アミノ酸に由来しています。含まれる水分は、3200 cm-1 から 3500 cm-1 の間のブロードなOH バンドを示しています。画像では、水分はタンパク質リッチな領域に集中していること、またタンパク質リッチな領域と脂肪リッチな領域がどのように絡み合っているかが明確に可視化されています。

この試料は、不二製油株式会社様からご提供いただきました。

ホワイトチョコレートの表面の成分分布の観察

ラマン分光法はチョコレートの品質を評価する上で重要な役割を果たします。チョコレートの組成や結晶形をラマン分光で調べることで、味、食感、保存期間の向上に重要な知見が得られます。異なるメーカーの 2 つのホワイトチョコレートのラマンイメージングにより、興味深い結果が明らかになりました。

ホワイトチョコレートは乳糖、タンパク質、乳脂肪、砂糖(スクロース)で構成されており、両方のチョコレートの主要成分であることが分かりました。特に、砂糖は 2 つの結晶形が含まれており、また乳糖はメーカー A と B のチョコレート間で結晶形に違いが見られました。

さらに、メーカー A と B のチョコレートでは、各成分の粒子径に顕著な違いがありました。具体的には、メーカー B のチョコレートは、メーカー A と比較してすべての成分の粒子径が小さくなっています。この粒径分布の違いは、チョコレートの食感に違いを与え、口当たりや口溶けなどの特性に影響を与える可能性があります。