ステップスキャン
時間分解分光法
ステップスキャン技術を用いることで、可逆反応の時間分解分光分析が可能となります。分光計は、繰り返し発生される試料反応に合わせて干渉計光路差をステップ状に走査し、各ステップにおいて赤外光の変化を連続的に記録します。このデータを時間ごとにソートすることで、時間分解インターフェログラム、つまり時間分解スペクトルが得られます。INVENIO および VERTEX シリーズ FT-IR 分光計の持つ高度な干渉計スキャナー制御機能が、再現性と精度に優れる時間分解スペクトルデータを取得します。
アプリケーション
ラピッドスキャン
ステップスキャンを適用することができない不可逆反応系には、ラピッドスキャン方式を用いることで時間分解分光測定が可能になります。干渉計の移動鏡を高速に走査することで、ミリ秒オーダーの時間分解スペクトルを取得することができます。さらに、干渉計の一度の往復走査で、最大 4 本のスペクトルを取得することも可能です。
ラピッドスキャンモードでの時間分解能、すなわち 1 回の干渉計走査に要する時間は、ミラー走査速度と走査距離に依存します。つまり、ミラー走査速度と波数分解能の設定によって決まります。ラピッドスキャンオプションを搭載する VERTEX 70v と INVENIO では毎秒 70 本以上のスペクトルを取得することが可能です。さらに高速な干渉計走査が可能な UltraScan™干渉計を装備する VERTEX 80/80v では、毎秒 110 本以上取得することができます。
NEW: インターリーブ TRS
INVENIO および VERTEX シリーズ FT-IR のインターリーブ TRS (時間分解分光測定) では、ステップスキャンを用いることなく可逆反応の時間分解測定を可能にする新たなアプローチです。干渉計は通常の連続走査モードで制御され、分光計内部の He-Ne レーザーのゼロクロッシングを使用して試料反応をトリガーします。 インターフェログラムを構成するデータは、He-Ne のゼロクロッシング (t = 0) だけでなく、指定した時間間隔 Δt の各光路差位置でも取得されます。したがって、基本的には 1 回の干渉計走査で一連の時間分解インターフェログラムを収集することができます。インターリーブ TRS では、ブルカーによって独占的に提供されています。
波数分解能 |
INVENIO R / X |
VERTEX 70v | VERTEX 80v | |
16 cm-1 |
毎秒 70 スペクトル以上 | 毎秒 70 スペクトル以上 | 毎秒 110 スペクトル以上 | |
8 cm-1 |
毎秒 50 スペクトル以上 | 毎秒 50 スペクトル以上 |
毎秒 75 スペクトル以上 |