金属表面での使用
方式
「赤外線反射吸収分光法」(IRRAS)は、金属表面の吸着物質と薄層の特性評価を行うための定評ある分析技術です。IRRAS実験では、試料は斜入射(通常80°)で、反射形状で調査されます。この方式の感度は、偏光変調技術(PM)を使用すると大幅に向上させることができます。特に、水蒸気と CO2によって引き起こされる大気吸収の阻害が防止されます。PM-IRRAS技術は、高角度入射でP偏光とS偏光の吸収が異なることを利用しています。金属表面の超薄層は光のP偏光部分と相互に影響を与え合いますが、S偏光部分とは相互に影響を与え合いません。
PM-IRRASは、S偏光とP偏光間の高周波変調を分析し、1. S偏光とP偏光の差分スペクトル、2. それに対応する合計スペクトルの、2つの信号の同時測定を可能にします。PMA 50 モジュールは、24ビットデュアルチャネルADCを使用することで、同時データ収集が可能です。従来式のIRRAS方式と比較して、PMA 50 のデュアルチャネル測定には基準測定が必要ないという、大きなメリットがあります。これにより、非常に薄い薄層や気相から吸着された分子、反射面の有機(サブ)単分子層を詳細に分析することができます。
機器
PMA 50 は、偏光変調IR分光法専用に開発されました。PM-IRRASなどの線形二色性に基づく方式以外にも、VCD分光法などの円二色性の調査も可能です。光学および電子コンポーネントはすべて、内蔵の光弾性変調器(PEM)によって生成される偏光変調用に特に最適化されています。PMA 50 モジュールは、ブルカーの INVENIO および VERTEX シリーズFTIR分光計と組み合わせることができ、卓越した感度と柔軟性が実現します。また、この分光計は他の用途にも使用できます。試料が透過で測定される VCD構成とは異なり、PM-IRRAS実験では、IR光が金属表面で反射されてから検出されます。レンズと検出器を装備するこのユニットは、アーチ形状のスチールレールに取り付けられており、移動させて入射角を調整することで、最大限に柔軟性な作業を行うことができます。こうした精緻な設計により、入射角(面法線に対する)を70°(オプション:32°)から90°の間で簡単かつ連続的に調整することができます。また、PMA 50ではPM-IRRAS構成とVCD構成をすばやく簡単に切り替えることができます。