早期発見や治療法の進歩にも関わらず、がんは依然として世界的な死因の上位を占めています。腫瘍内不均一性や腫瘍生物学の複雑性により、同じような診断を受けたがん患者でも、治療に対する応答や予後が異なる場合があります。メタボロミクスは、オミクス技術の一つであり、メタボロームの中の低分子代謝物の同定と定量をハイスループットで行うものです。
がん細胞は、エネルギー生産を維持しながら栄養素をバイオマスに変換する必要があり、そのためには中心的な代謝プロセスの再プログラミングが必要です。この現象は、治療のターゲットになり得るだけでなく、予後、リスクの層化 (stratification)、治療モニタリングに利用できるバイオマーカーの供給源としても認識が高まっています。
NMR*を用いたがんのメタボロミクス研究により、予後や予測のためのバイオマーカーを同定するための分析パイプラインの様々な側面をカバーできます。
Tone Frost Bathen
Breast Cancer Research at University Norway
Prof. MR technology, Head of NMR cancer Group NTNU, Norway
Christoph Trautwein
Group Leader Metabolomics and Systems Medicine
University Hospital Tübingen, Germany
* 研究用途限定。ブルカーのNMR装置は、臨床診断用にはご利用いただけません。