<金沢大学 安藤教授登壇>
【第2回】高速AFMシンポジウム ~高速AFMによるタンパク質分子の動態観察~
ブルカージャパンナノ表面計測事業部では、この度高速AFMのオピニオンリーダーの研究者の方々をお招きし「【第二回】高速AFMオンラインシンポジウム~高速AFMによる蛋白質分子の動態観察~」を開催致します。本シンポジウムでは、高速AFMの発祥の地である金沢大学から講師をお招きし、最新技術、観察のノウハウ、最近のバイオ応用研究について紹介して頂きます。 今回はライブ配信のみイベントとなります。是非皆様のご参加をスタッフ一同お待ちしております。
*ワークショップの詳細に関しては、ウェビナー後、弊社HPに掲載予定です。https://www.bruker-nano.jp/
<形式>
ウェビナー(オンラインによるWEBセミナー)
※お持ちのPCにてインターネット経由でのご参加となります。インターネットに接続できる環境でお手元のパソコンや各種端末からご参加いただけます。ウェビナー配信サービスには「GoToWebinar」を利用致します。(※GoToWebinarをインストール可能なPC、モバイル端末等のご用意が必要となります。)
<参加費>
無料
2021年12月23日(木)
16:00~18:00(日本時間)
※15:30ログイン受付開始
(15 :30よりログイン受付開始 ※接続テストのためお早めにログインをお願い致します)
16:00~16:05 開催のご挨拶
16:05~16:25 【特別講演】「高速AFM技術とバイオ応用研究の進展」
高速AFMは2008年頃に確立し、個々のタンパク質分子の動的な姿と機能動作の直接観察を可能にした。高速AFMはすでに市販され、バイオ分野に限らず、マテリアルサイエンスでも利用されており、液中ナノ世界の研究に必須な技術となっている。最近の”Only trace imaging”法の開発などにより高速性能と低侵襲性能の両方が向上し、2-3年のうちに脆弱な試料でも1秒間に100画像を撮れるようになると予想される。その実現により、観察可能な試料系と現象の大幅な拡大が見込まれる。本講演では、最近の技術開発の進展を概観するとともに、個々の試料系の観察で実施された工夫を具体的に紹介し、高速AFMを自身の研究に利用することを考えている学生や研究者の一助としたい。
金沢大学 ナノ生命科学研究所 特任教授 安藤 敏夫 先生
16:25~16:45 【特別講演】「高速AFMによる記憶分子CaMKIIの構造ダイナミクス観察」
カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)は巨大な12量体を形成し、薬理学的実験やノックアウトマウスを用いた実験より、神経細胞内の“記憶タンパク質”と推定され、様々な研究手法により、その詳細な構造や機能が研究されてきた。しかしながら、Ca2+/CaMの結合による活性化状態、および、その後に起こるリン酸化状態に関する構造ダイナミクスは、これまでほとんど報告されていない。高速AFMを12量体CaMKIIへ適用し、活性化状態におけるキナーゼドメインの構造ダイナミクスを直接可視化した結果、キナーゼドメインは12量体リングの周辺を自由に動くが、Ca2+/CaMの結合により、リングの動径方向へ約3 nm広がり、運動の自由度を下げることが分かった。また、CaMKIIの分子内には、主に2つのリン酸化部位があるが、記憶形成に関わるThr286のリン酸化では、キナーゼドメインの運動性が向上する一方で、記憶消去に関わるThr305/306のリン酸化では12量体内のキナーゼドメインが互いに凝集し、運動性を大きく下げることが分かった。講演では、高速AFMにより明らかとなったCaMKIIの活性化状態におけるキナーゼドメインの運動性と機能との相関について議論する。
金沢大学 ナノ生命科学研究所・新学術創成研究機構 教授 柴田 幹大 先生
16:45~17:05【特別講演】「高速AFMによる抗ストレスタンパク質ペルオキシレドキシン2(Prx2)の脂質依存的な高分子量複合体形成過程の解明」
Prx2は、細胞内の過酸化水素(H2O2)などの活性酸素種の除去を介して細胞保護に寄与しているが、過剰のH2O2や高温などのストレス条件下において、20~30 kDaのモノマー、或いはダイマーが会合し1,000 kDa以上の球状高分子量複合体を形成することが知られている。発表者らが高速AFMを用いてPrx2の球状高分子量複合体形成過程を観察したところ、意外なことに、タンパク質(Prx2)のみで形成されていると考えられていた球状高分子量複合体は、実際には脂質と融合した形態で構成されていた。講演では、Prxと脂質が相互作用する過程を高速AFMによりリアルタイムで観察した結果について紹介する。また、Prxと脂質を含む球状高分子量複合体(小胞)の生理学的意義を生化学、分子生物学的手法により調べた結果についても紹介する。
金沢大学 ナノ生命科学研究所 准教授 紺野 宏記 先生
17:05~17:25 「Unravelling Molecular Dynamics with True High-Speed AFM」<英語による発表>
17:25~17:45 装置デモンストレーション
Recent atomic force microscopy (AFM) technology developments have led to unprecedented imaging rates in fluid, setting new milestones in high-speed scanning capabilities. Bruker recently launched the fastest commercially available high-speed AFM (NanoRacer®) able to reach a scanning speed of 50 frames/sec. High-speed AFM not only delivers atomic resolution but also enables the true, real-time visualization of time-resolved dynamics associated with cellular processes and the binding mechanisms of individual biomolecules. For example, the dynamics of individual protein binding behaviour, two-dimensional protein assemblies, motor proteins, membrane trafficking, structural transitions of nucleic acids, can now be observed.
Join us for a live demonstration from the BioAFM labs of Bruker Nano Surfaces in Berlin, Germany. Two of our experts - Dr. Thomas Henze and Dr. Andreas Kraus, will introduce to the concept, theoretical background, application examples and demonstrate realtime high-speed AFM operation.
Do not miss the opportunity to get a first-hand experience and learn how video-rate imaging at 50 frames/sec can provide new insights into your life science research!
Keywords: High-Speed AFM, Videorate Imaging, Visualisation of Molecular Dynamics, DNA Origami Nanostructures, BioAFM, Bruker
高速AFMによる分子動力学を理解する~最速50フレーム/秒 NanoRacer応用事例とライブデモ~
近年の原子間力顕微鏡(AFM)の技術開発により,液中でのかつてない高速なイメージングが可能となり,高速走査性能の新たなマイルストーンとなっている。ブルカーは、市販の高速AFMとしては最速の50フレーム/秒の走査速度を実現したNanoRacer®を発表しました。高速AFMは、原子レベルの分解能を実現するだけでなく、細胞のプロセスや個々の生体分子の結合メカニズムに関連する時間分解されたダイナミクスを、真の意味でリアルタイムに可視化することができます。例えば、個々のタンパク質の結合挙動、二次元的なタンパク質の集合体、モータータンパク質、膜の輸送、核酸の構造変化などのダイナミクスを観察することができます。
本セミナーでは、ドイツ・ベルリンにあるブルカー ナノ表面計測事業部のBioAFMラボから、Dr. Thomas Henze と Dr. Andreas Krausより、ライブ中継にてバイオAFMのコンセプト、理論的背景、応用例を紹介し、また実際に高速AFMの操作デモンストレーションを実施致します。50フレーム/秒のビデオレートイメージングが、ライフサイエンス研究にどのような新しい知見をもたらすのか、是非お確かめください。
Bruker Corporation Nano Surface and Metrology Division
Senior Applications Scientist
Dr. Thomas Henze
Bruker Corporation Nano Surface and Metrology Division
Application Scientist
Dr. Andreas Kraus
17:45~17:55 「Open Forum Discussion」
17:55~18:00 クロージング