単結晶X線構造解析の測定において一つ一つの反射強度をできるだけ正確にS/Nよく測定することは、言うまでもなく最重要課題です。装置は年々進化し、そのパフォーマンスはどんどんよくなっています。同じ測定方法で測定しても、より質の高いデータが簡単に得られるようになってきています。それでも、得られるデータには、ある一定の誤差が含まれています。その誤差は小さいので、あまり普段気にしないことが多いかもしれません。しかしながら、弱い反射の取得が重要な測定、または複数の反射間での微妙な強度差が重要になってくるようなデータの場合、小さな誤差が無視できなくなることがあります。例えば、良い例がflack parameterの正確な決定。表の反射と裏の反射強度の差を検出して導出する値ですが、その反射強度差は通常、非常に小さく、数%あるかないか。サンプルの組成、使用するX線の波長によっては、その正確な検出は誤差に隠れて非常に難しくなります。そのような場合の、測定上の工夫の一つとして、測定の冗長性を大きくすることが考えられます。つまり、同じ反射を何回も測定することです。その回数をredundancyまたはmultiplicityなどと呼びます。今回はそのredundancyに注目し、それが結果に与える影響を考えてみます。どの程度影響があるものでしょうか。最新の装置を使用して測定をすれば、その変化を比較的短時間に明確に認識することができます。一緒に見てみましょう。
This webinar is held in Japanese.